「初めの場面」
そこは…
スペインのある地方の屋敷か、古城の内部の様な石造りの室内だった。
ベージュから薄茶色がかった石を組み合わせた、壁面と高い天井。
私は、室内の片隅の流しのような場所で、ポット又はコップに
しつこくこびり付いたコケを、小さなブラシを使って一生懸命
洗い落とそうと努力していた。どんな所も見逃さないよう入念に。
隅々まで丁寧に。
実質本位で堅牢さが取り柄でしかないけれども、簡素な美しさを持つ
ホーロー引きの食器に、元の無垢な艶をを取り戻したかった。
「次の場面」
同じ屋敷の中の寝室。
室内は暗いながらにも、その天井の高さは感じ取れる。
その寝室で寝入ってしまう。
夢の中でさらに夢を見ている私は…
ガッシリとした、しかし上質な木造りのベッドに横たわっている。
傍らに居るらしい相手(夢の中では顔が見えないが、おそらく恋人)
にしなだれかかり、いちゃつこうとするも拒否される。
夢の中で夢から覚めた私は
『夢でさえ、自分の思い通りにならないなんて。』
『夢ぐらい、自分の好きに楽しく見させてよ!』
…と不平不満を呟く。
…だが、目覚めて暫く立ち、はっきりしてきた頭でもう一度
自分のいる所を見渡すと…
そこは全長3メートル近い、巨大なベッドの上。
一方の端には自分。反対側の端には妹が寝ている。
互いに頭を逆の方に向けていて、互いの足がぶつかっている。
『そうか、私は昨日夢の中で寝ぼけていて、妹の足に
いちゃつこうとしていたのか。そりゃ、嫌がられるはずだ。』
…などと夢の中で納得しながら、起き上がろうとしていた。
(でもまだ、それも夢の中の出来事)
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